ごく普通の少年から大人への通過儀式的物語だけど、青春期の不安感、大人になった今も抱える不安定さ、挫折の記憶を持っている人ほど共感できる青春映画だと思う。主人公は、何かが足りない自分を補うものを見つけ、自分を認めさせる手段を見つけ、勝ち取って、負けて全てを投げ出して・・・その繰り返し。そしてそこには、こう生きてきたけれど、これで正しいのか、子供に道を示せない大人の不安が渦巻いているんだよね。結局、大人も子供も変わらない。正解のない生き方をするしかないんじゃないかな、その生き方をするのに家族や自分のへこたれない心があればいいよね、というマイク・ミルズのメッセージが伝わってくる映画かな。主人公を演じたルー・プッチのナイーブさたっぷりのキャラクターには共感できたし、催眠術で主人公に暗示をかける胡散臭い歯科医師を演じたキアヌ・リーブスの大人げなさっぷりたっぷりの演技や、メロドラマの俳優に入れ込む母親を演じたティルダ・スウィントンの包容力のある存在感なども見物っ。ナイーブな心を奏でてみたい人には必見っ!カモ。