_ 今年は映画40本ほど鑑賞。観た中ではこのあたりが印象的。「サマリア」のラストシーンも忘れがたい。
素晴らしい!今年観た中で最高に素敵な映画。恋をするのが巧いが長続きしない女 晴子(中村麻美) 晴子に惚れているが気持ちが届かないせいか他の女にはしる慎之介(渋川清彦) 慎之介に惚れているバイである盆栽店の店長・三沢(長塚圭史) 三人の気持ちと距離感が絶妙な会話に集約され、互いに振り回し振り回される優しさと残酷さも、慎之介に振られた女の子に至るまで丁寧に描いている。女の子の恋の躁鬱加減と慎之介への恋までいかない関係を絶妙に演じた中村麻美、晴子に惚れた弱みか甘やかし続ける慎之介を演じた渋川清彦の飄々とした演技、父長塚京三に良く似た甘いボイスで慎之介たちに微妙な優しい距離を置いて接する店長を演じた長塚圭史(やっぱりこの人はアサスパ作演出より役者としての方が個人的にかえる)、それぞれの演技からは舞台上のキャラクター性を超えた役者の力を確かに感じる。終わらない日常と来るはずのないせかいのおわり、デモそんなときが来たら隣にいて欲しい人。そんな甘ったるいテーマも素直に受け入れてしまえる作品だった。
非常に魅力的な脚本。所謂タイムスリップものなんだけど、ひとつひとつの悲劇の描き方と大まかな伏線の拾い方が実に巧い。もう少々映像センスを感じられれば傑作といっていい作品になっただろう。
裏の不動産ブローカーの主人公がピアニストであった亡き母のマネージャーからオーディションの誘いを受け、10年ぶりにピアノをはじめる。中国人女性とのレッスン、日常でも指先を迸らせてしまうピアノへの情熱は柔らかな光を。裏の不動産ブローカーの仕事、それに金を騙し取られるなどトラブルを呼び込む父の存在が抗えない暴力の闇を呼ぶ。美への憧憬と逃れられない暴力。恍惚と苛立ちとを主人公に内在させ、ある運命を描ききった作品。テーマ的にとっても好み。父から派生する抗えない暴力、母の記憶から辿りつく自らの美への終着点であるピアノ。ふたつの対比を決して鮮烈ではないが、共感で包み込めるレベルで描きこんだ点が良かった。
コロンビアの田舎町に育った少女が、仕事を辞めお腹に子供がいることがわかりある賭けに出る。それは胃の中に麻薬をいれ運び屋になるということだった。
_ 素晴らしい!設定・丹念なディティールの描きこみと主演女優の存在感が作品に引き込ませる力を持つ。切迫感を与える演出と脚本が主人公の未成熟さや選び取る方向性の描き方に説得力を与えている。