舞台は巨大カルテルの関連会社から派遣されてきたスペシャルチームの面々が、とある施設に集まるところから始まる。その目的はカルテルを脅かすといわれる『K』という人物を葬ることであった。いっぽう、その施設がある土地では『スポンジ』と命名されている林が地下水を吸い上げて陥没の恐れがあるということで、伐採が行われていた。『K』を過去のスペシャルチームのデータから研究するうちに、物語は意外な方向に…
すごい。主宰倉持裕は評判どおりの才能だ。その舞台設定の妙、噛み合うことのない捩れ、妄想の絡み合い、自称の積み重ねから着地点まで文句がでない。役者も小林高鹿の胡散臭さを中心に、懐かしの山本大介(密)の狂気のくるみかた、加藤直美の境界線まで演技が見事に物語の芯としてとおっている。久しぶりに真の才能を目の当たりにした興奮を得られた。
_ ここらへんの劇団でやっぱりいつも逢う方がいる。その方に『業音』が一枚売れました。ありがとう!
■松本芽紅見/Firefly 懐中電灯を手元に暗闇に浮かび上がる自分の体の部位から少女自身を描いた作品。闇に浮かび上がる体の残像が美しい。
■ダンスユニット セレノグラフィカ/樹下の双魚 男女のデュオによる夫婦漫才ダンス(笑)。座り込み尻を揺らし始めるオープニングから忍び笑いが。男が尻を撫で、女がドツクといったしっかりとした落ちがある。肘やら頭やら足の指までそれぞれの部位で闘うその面白さ。素晴らしい。
■得居幸、戒田美由紀/モモ色の空
子犬のような少女ふたりが駆け回り、冒険的なモチーフで進行する。ちょっと南国風の味付けのような。まだテーマが絞り込めていない印象。
■北村成美/ラベンダー
ラベンダーをモチーフにしたダンス、ということだが、ワイルドフラワーだ。野獣の恥じらい、いや野生の恥じらいから彼女が見つづける日常、そして挑み咲き乱れる官能。正直、その恥じらいはトラにだって勝てるよ(笑)。